一部の情報は、2021年3月までの旧社名を含めて当時のまま掲載しています。
 
活動報告

ダイアログ・イン・ザ・ダークを通じて多様性を自分ごとに考える



ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)を体験し、健常者も障碍者も同じ人間、違いは面白いに気づいた会の活動報告です。

■DID体験会
開催日:9/4(土), 11(土), 12(日)  計5回 開催
参加者:端数倶楽部会員(12名), 家族(大人7名) 計19
小1(1名), 小3(1名), 高1(1名), 大2(1名), 20代(1名), 30代(2名), 40代(5名), 50代(5名), 60代(2名) 

■オンライン対話会
開催日:9/19(日)9:00~10:00
参加者:DID体験者 9名、視覚障害の暗闇の案内人 2名 計11名

<DID体験しての感想/気づき>(一部抜粋)

  • 小1.jpeg小1男子「絵でもいいよ」というお母さんの一言に、ひたすら真っ黒に塗りつぶして、真っ暗闇を表現した絵です。真っ暗闇で鬼ごっこをしたとき、誰よりも早く隠れてつかまらなかった。
    小3女子。感じたことそのままをどんどん口にしてくれて、イメージできる。明るくして自分のイメージと合っているか確認したいと言っていました。小3.jpeg

  • 子どもたちが「イメージできた!」とか、暗闇でのボール回しで「相手が見えた!」と言っていました。鬼ごっこでも、慎重に歩を進める親に対して、のびのびと走り回っていたようです。子供たちの方が、視覚以外の感覚(第六感も!)を研ぎ澄ませて、存分に発揮していたと感じました。見るとは、相手を知る、ことであり、空間を把握する、ことでしょうが、視覚に頼らずとも私たちには備わった感覚で達成できる。個々人に与えられた感覚/感性の発揮の仕方の違いだということが、実感できました。

  • 大2.jpeg毎朝、同じ電車に目が見えない方がいて、その方たちが目を完全につぶっているわけでもなくて、少し光が見えてるのかなと思っていたけれど、これを体験したことがある人ぐらいにしか、この感じを知らないと思うので、もっと皆に知ってもらいたいと思った。体験してみて、周りの人から言われた情報を頼りに行動したので、困っていたら助けてあげたいと思う。でも、どう助けるべきか、どうされたら困るのかがわからなくて行動できないので、もっと詳しく知りたいと思った。(高1)

  • 高2.jpeg音が過敏に聞こえる感じたしました。自分が感じたことを素直に伝えることが、相手への注意につながることを感じました。暗闇の中の安心感は人でした。人の声、存在、杖の音でさえ、安心材料になったと思います。(大2)
  • 暗闇の中で話すうちに、相手が何を伝えようとしているのか、間をとって話を聞けるようになった。「たくさん声を出し合いましょう」と言われ、当初はその理由が分からなかったが、暗闇を進むうち、お互いの距離感がつかめたり、存在を実感して安心できたり、声のパワーを再確認できました。

  • 2人と参加。娘のコメント「安心感は人」本当にそうだと思う。声を掛けあうことで安心する。災害時も同じ。音声情報や視覚情報も大切だけど、最後は声を掛けあう。人とコミュニケーションする、人を感じることが大切だと思う。

  • 声を出し合えば出し合うほど、絆が深まる気がした。みんなのアンケートを読んで、幅広い世代が参加して、みんな体験して良かった。みんなの感想が前向きに終わっているのが素晴らしい。健常者が障碍者に対してケアしなくちゃと意識が働いている。障害の有無に関係なく、人と人のコミュニケーションの大切さを学んだ。

  • アテンドのタエさんから思っていることを声に出してね。と言われ、皆が思っていることを声に出して言うようになった。普段の生活で、初対面の人に、自分の気持ちを素直につたえるのはできていない、されることも少ない。自分が思っていることを伝えることで、自分が楽になるし、してもらうことで相手との距離が縮まった気がした。相手にどう導いてもらったら自分が動きやすいか、各々が理解した上で助け合いの言葉がけがありました。自分が体験しないと、目が見えない人の気持ちはわからないな、と感じました。

  • 対話自体が存在価値になる。「何処に居ますか」と問いかけること、「ここにいます」という発話することで、自分が此処に居るということ、相手が居ること、が理解できるのだと思いました。一番印象的だったのは、アテンドのタエさんの声の力強さ。明るいところでの気遣い以上の気遣いを感じた。手取り足取りのアテンドではなく探索する余裕を残しつつ、アテンドしているという印象。日常で使われている。ありがとうのバリエーションの多さに感動。

  • 02.jpeg普段、いかに視覚に大きく頼って生活しているのかということを痛感。声をかけあう・対話をすることにより、安心・安らぎが得られることを実感しました。暗闇に入って右も左もわからない。帰ってこれるのかな?電車にのったあたりから不安がなくなった。声を出し合うことで、安心感を感じた。歩きながら、お互いの配慮が良かった。絆が深まった。人との距離がちじまった。

  • 五感のうちの1つを強制的に奪われることで、他の感覚をフルに使わなければいけないこと、その他の感覚が研ぎ澄まされること、いかに普段視覚というものに依存してるかを実感しました。アテンドのタエさんからの言葉が新鮮。なぜ立っているのがわかる。視覚が最初に入るから視覚で立ってる座ってるって判断してしまうが、声掛けすることで、わかるんだなというのが新鮮だった。距離感を声で敏感に感じることがすごい。キャリアが違う。視覚以外の五感を使っている。

  • 04.jpeg暗闇に入ったとたんに、子どもも大人も確実に声が大きくなりました。自分の想いを発すること、他者の想いを聴くことで安心感が生まれていることを実感しました。誰かの気づきを聴いてさらに気づくことも多かったことを目の当たりにしました。子ども達はイメージ力、発想力が凄い。子ども達は暗闇に躊躇することなく気づいたこと、イメージしたことを素直に口にしているのを聴いて、子どもの感性はすごいなと感じました。一緒にいると暗闇への不安はどこへやら、ワクワク感があふれてきました。真っ暗闇で何して遊ぶ?に「鬼ごっこ」と即答。どうやって鬼を決めるかも靴の先を合わせて「鬼さん、誰かな誰かな」で決めたり、広場で円を作る時も、全員で白杖を合わせた先から、後ろに下がれば円になるという提案も小3からでした。

<DIDのアテンドの皆さんからのメッセージ>

  • (タエさん)暗闇で感じる一つ一つにとても新鮮な反応を示してくださいました。皆様視覚障害に対する興味も新進で、エントランスではアテンドに対する質問も止まらず、それぞれのご体験とリンクして受け止めておられたようです。

  • (ニノさん)プログラムストーリよりも物理的な感覚についてとても興味を持っていました。例えば、「このおじいさんの家がどんな家かな?」家の長さ、家の形など。そしてアテンドについてとても興味がありました。例えば、日常生活について、時計、点字、色の識別など。私は外国人だから、日本と海外についてとても質問されました。DID 時計.jpegのサムネイル画像

    ※どうやって、時間を計るの?の質問にニノさんは、文字盤を触れる時計を見せてくれました(右の写真)

  • (せとせっと)子供たちのリアクションで大人たちがはっとさせられる会でした。小3の女の子が、杖の感触を「手が震える」、輪になるときに「杖を真ん中に集めて重ねたら」、大きさを伝えるときに「雪見大福3つ分」など感性やアイディアが自由なところに驚かされました。また、小1の男の子は恥ずかしがり屋さんであまり発言してくれなかったのが、おじいちゃん家の畳を振れたとたんにスイッチが入ったように元気になっていました。子供さんがいるだけで感性も思考も豊かになる時間でした。

<オンライン対話会の感想/気づき>

対話の森.jpegDIDは、その時の参加メンバーによって、まったく違うものになります。それは、人の感性はそれぞれ違うからです。DID体験から1週間後、それぞれが何を感じ、どう考えたか、その後のお子さんたちの様子も共有し、健常者と障害者との境界線や多様性について、一緒に考えました。
小1, 小3のお子さんたちは、以前に比べて、自分を発信しよう、自分の気持ちを表現しようとするようになったとのことです。高1, 大2のお子さん達は、家族で多様性については話合うことが増えたそうです。

今回の企画は、DIDを体験するだけでなく、体験者とアテンドの皆さんで想いや気づきを共有することで、気づきを深めることを狙いとしました。 DID体験後のアンケートで「対話会で共有したことは価値がありましたか?」の問いに対して、参加者7名から「非常に価値があった」と回答をいただきました。その理由として、次のようなコメントをいただきました。

  • 自分の体験を他の人と共有することで、より体験が印象深くなり、自分の思いを整理することができたから。

  • 体験して1人心(頭)の中で振り返っても自己満足に終わってしまうが、こうして他の人たちと対話することでこれからの行動にも現実味が増すと思うから。

  • カード2.jpeg現実に多様性を実感する機会を得たうえで,その体験について様々な人と意見交換できたことは,貴重な時間だったと思います。

  • 対話会自体が、固定観念の確認と多様性の尊重に繋がると思ったからです。自分の感じたことをうまく表せなかった言葉を表出してくれる「仲間」の存在を感じました。

  • 人に伝えることで自分の思いを新たにした。

  • 年齢の壁がなくなるという感想に新鮮な気付きがあった。視覚がないためだけなのかは分からないが、体験時には確かに年上の人にも遠慮せず、会話ができていた。暗闇の方が会話がはずむというのも、今話しかけても良いかな?と見るところから始めないことからだろう。自身では意識してなかったが、確かに普段は何気なく人の顔色を伺うことをしているのだろうと気付かされた。

  • 話す準備として自分の中で再度まとめなおす時間も含めて、他社との共有で振り返ることが体験の価値を高めると思います。

<オンライン対話会でのアテンドからのメッセージ>

カード1.jpeg(ハチさん)皆の話を聴いて、暗闇を体験しただけに止まらず、普段の生活と体験を結び付けていろんなことを考えてくれた。ことがよくわかった。
多様な人たちがそれぞれいるので、「境界線」というか、何かを区別する必要がでてくるかもしれないけど、だとしても同じ人間なので、一緒に歩み寄って知り合って、友達になって、わからなければ、自分から聞いてみたり、興味をもってもらえるような存在でいたい。
何よりも、皆さんと私たちは、同じ地球で暮らしているので、大きくとは違わないことがわかってくれていてうれしい。子どもたちは順応性があるので、子どもにたくさん経験してもらうことで、普通に一緒に共生している社会になることを祈っています。

杖.jpeg(タエさん)本当に楽しい時間でした。皆さんの声を聴いていて嬉しくなるのは、相手が嬉しくなる声掛けをしたいと思ってくれるのが嬉しい。今回、皆さんが体験していただいたことで、皆さんにしかできないことがある。体験したからこそ、思うことがたくさんある。だからこそ周りの人に紹介できるものがある。小さな種が広がっていく。佐賀県で子どもたちに体験してもらったら、町が変わっていった。小学校は普通学校。子どもは、当たり前にやっている。
幼馴染は、普通に飛び込んで切る。子どもの時に体験することってとても大事。一人が変わることで社会が変わっていく。

<境界線をなくし多様性を認め合うために、何ができるか?>

  • 今回参加して先入観がなくなった。障害をお持ちの方は大変という境界線はなくなった。近しくなった。積極的に話しかける。今までは勇気が必要だった。気軽に一緒に歩きましょうと声をかけたいと思った。
  • 違いがあるから、境界線はなくならない。多様性を認め合うためには、それぞれの固定観念をなくすということだと思う。概念をなくす。すぐに変わるのは難しいけど、少しづつ変わる。

  • 人間だれしも、できること、できないこと、得意なこと不得意なことが必ずある。それをお互いに、できないこと、不得意なことを素直に開示して、そのうえでお互いを認め合って、尊重しあってフォローしていく、そういう関係づくりが必要なのだと思った。

  • 今回の体験に感謝。境界線は難しい。どこまでが境界か、個人個人で違う。今回の体験で感じたのは、その瞬間、その気持ちを忘れないようにしたい。感じたことをいつまでも新鮮に持っていたい。

<DID体験+オンライン対話会で辿り着いたこと>

対話の森―横.jpeg参加者とアテンドとのオンライン対話によって、辿り着いたのは...「まずは体験して知ること。そして、違いを知って歩み寄ることが大切。そして、ずっと先には、境界線なないということ。」
いろんな人がいること、違いがあることを知る。それは、背が低い人もいれば高い人もいるくらいの違いであり、そこに線引きはいらないってことかなと「境界線」って、誰かが線引きしていることであり、線を引く根拠は人それぞれ...
アテンドのタエさんやハチさんからのメッセージは、環境によって線引きが必要なこともあるだろうけど、基本は同じ地球に生まれた人どうしだということ。普通に接してほしいということ。手伝いが必要なときに「手伝って」と言えて、「手伝いましょうか」と気軽に声をかけられる。手伝ってほしい、助けてほしい人は障害のある人とは限らない、そんな世の中になることを目指し、自分にできることをしよう。

<本企画の狙い>
端数倶楽部では差別/偏見のない世界を目指し、自分ごとして考える機会を提供してきました。今回はダイアログ・イン・ザ・ダーク(https://did.dialogue.or.jp/)に参加し、
視覚障害者と一緒に純度100%の暗闇で旅をする体験をしました。真っ暗闇では視覚は使えません。障害の有無にかかわらず対等な関係性となります。
環境など物理的な違い、境界線はなくならい、必要な場合もあるかもしれません。ですが、境界線=固定観念(自分のめがねで見ない)思ったこと、感じたことを他の人に伝えていってほしい。多様性を認め合う生きやすい社会とするために、自分でできることを考える機会を企画/実施しました。
※参加者の皆さんには、本音で話していただけたことに感謝します。

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