一部の情報は、2021年3月までの旧社名を含めて当時のまま掲載しています。
 
活動報告

「丹沢の自然シンポジウム」の参加報告


■開催日: 2017年11月19日(日)
■主催: 丹沢ブナ党
■開始場所:横浜市市従会館(横浜市西区宮崎町25 )
■参加者: 端数倶楽部からの7名
■記念講演:「日本のシカ問題の現状について」
      高橋 成紀(麻布大学いのちの博物館上席学芸員)
■パネル討論「シカをどうやって減らすか - 丹沢を蘇らせる道を探る - 」
パネリスト 高槻 成紀(麻布大学いのちの博物館上席学芸員)
      濱崎 伸一郎(株式会社 野生動物保護管理事務所代表)
      山根 正伸(神奈川県自然環境保全センター研究企画部長)
      川島 範子(NPO法人 小田原山盛の会 副理事長)
司会    梶谷 敏夫(丹沢ブナ党代表)

■概要

20171119-02.jpg 今、丹沢の自然は、ブナ枯死の進行、シカの採食による植物や樹木の衰退とそれに伴う生き物たちを育む生態系の劣化が著しく、危機的な状況を強めています。
とりわけ、生態数が増大しているニホンジカによる食害は喫緊の課題となっています。
この問題の解決に向けて衆知を集めて考えるシンポジウムが開催され、端数倶楽部からも有志が参加しました。

現在は、シカの増加による問題が顕著になってきていますが、戦後の一時期は保護に視点があったそうです。
自然の生態系全体をどう維持するかの視点から考えることの大事さを学びました。

■参加者の感想

  • 参加していくつかの疑問についての示唆をいただいた。
    ①50万頭/年間捕殺される鹿の活用方法
    (北海道では、シカ牧場/民間がやるものは成功/行政指導は×など)
    ②行政が実施してきた方法にも意味がある
    (柵は費用がかかるが効果はあり、シカ対策後は復活への導となる。)
    ③登壇した人達は野生動物への愛着は人一倍あり、早く昔の自然に戻したいの気持ちでこの問題にかかわっている。
    ④丹沢での失敗に学び箱根では二の舞にならぬ工夫/行動が必要。
  • 鹿は生きるために食を満たしているのであるが、そのことにより様々な利害や影響が出てくるのだと理解できました。
    今後共、鹿や他の動植物と、どう共生するのかについて考え続けたいと思います。
  • 特に高槻先生の話に興味が沸き、人間とシカが共生するには、シカの必要な個体数が重要では無く、人間への被害がなくなることが重要で、その時の個体数で良いとのこと。
  • テーマに特化した講演、パネルディスカッションだったこともあり、また講演者の方のお話がとても分かりやすかった。
    今回、講演をしてくださった高槻先生は、NHKニュースでも「専門家」として意見を求められるような方が講演をしてくださって、今回のテーマ「シカ問題」に長く携わってこられた先生のデータに基づく、そして「現状」に即した講演を聞く機会が得られたことは実に有意義でした。「シカがかわいそう」とか、「そんなに有害なら殺せるかぎり殺処分してしまえ」というそんな簡単な話ではないのだ、ということが今更ですが、よく分かりました。
  • 鹿の食害の大きさを知ることが出来、参考になった。
    また、現在の活動「塚原の雑木林をまもる会」がどう関係してくるかも考えたい。
  • 丹沢のシカ問題は深刻であるが、
    ①基調講演の高槻先生の
    「シカの頭数を数えるより、農業被害があるかどうかが基準である、被害把握が大切だ」
    という言葉に感銘を受けました。
    密度を知るためにもシカ数の把握は必要ですが、シカ数の把握はかなりむずかしいと思いました。
    農業被害数を把握する方が可能と思いました。
    ②山を歩いていて柵がたくさんあり、柵の大切さは検証できているのですが、私達が柵に入れられているのではという感覚を何度も味わいました。
    色々な意見を聞くことができて有意義なシンポジウムでした。

丹沢ブナ党

端数倶楽部の助成先です。
1990年に団体を結成以来、丹沢のブナ林で自然環境保護活動、ブナの健康度調査を行っています。
Webサイト http://tanzawabunato.web.fc2.com/index.html

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