【報告】石垣・西表島ボランティア活動のご報告
活動日程:2024年10月27日~10月29日
参加者:端数倶楽部メンバー15名
場所:沖縄県石垣島および西表島
目的:3日で3つの環境問題に触れ、環境保護に貢献すること
1日目:月桃植樹による赤土流出防止活動(石垣島 白保地区)
2日目:イリオモテヤマネコ保護のための道路沿い草刈り活動(西表島 東部地域)
3日目:ビーチクリーン活動(西表島 中野海岸)
1日目:月桃植樹による赤土流出防止活動
活動日:2024年10月27日
場所:沖縄県石垣島 白保地区
初日は、赤土の流出を防ぎ、海の生態系を守るために月桃の植樹を行いました。
背景と問題点
沖縄の土壌は赤土が多く、特に石垣島では農業が盛んなため、畑からの赤土流出が深刻な問題となっています。雨が降ると赤土が海へ流れ込み、海水を濁らせてしまいます。これがサンゴ礁に悪影響を及ぼし、サンゴの死滅や海洋生態系の崩壊につながっています。
活動内容
まず、現地のNPO法人「夏花」様から、赤土問題の現状と月桃植栽が持つ効果についてお話を伺いました。月桃は沖縄の在来種であり、根を深く張るため、沖縄の土壌の流出を防ぐのに適した植物です。その後、私たちは実際の植樹作業に取りかかりました。直前に雨が降り水分を含む赤土は粘土のようになり、土を掘るのは想像以上に大変でした。月桃の苗を植えるために約20センチの深さまで土を掘り、苗を置いて埋め戻す作業を繰り返しました。全員の力を合わせ、予定していた240本の月桃の植樹を無事に完了することができました。
成果と感想
今回の活動を通じて、赤土流出がサンゴ礁や海の生態系に与える影響の大きさを知ることができました。月桃の植樹は、一見地道な作業ですが、その効果は長期的に見て非常に重要だと感じました。月桃は約3年で成長し、適切な手入れを行えば長い間赤土の流出を防ぐことができ、農家の方の負担も少ないとお聞きしました。作業は一人では到底できない大変さでしたが、15人のメンバー全員で協力することで成し遂げることができました。また、いままでも月桃植樹は行われていたこと、さらに、後日地元の学生たちがこの活動を引き継ぐと聞き、環境保全の「バトン」をつなぐことができたと嬉しく思います。
2日目:イリオモテヤマネコ保護のための道路沿いの草刈り活動
活動日:2024年10月28日
場所:沖縄県西表島 東部地域
2日目は、絶滅危惧種であるイリオモテヤマネコを守るため、西表財団様と道路沿いの草刈り活動を行いました。
背景と問題点
イリオモテヤマネコは、西表島にのみ生息する世界的にも希少な野生動物で、現在の推定個体数は約100匹です。その生息数をこれ以上減らさないために、マングローブ林の保全や開発の規制、外来種の侵入防止など、さまざまな取り組みが行われています。しかし、西表島では車での移動が必要不可欠であり、道路はヤマネコが人間の生活圏と交差する場所でもあります。このため、ヤマネコと車の交通事故が大きな問題となっています。実際、交通事故に遭ったヤマネコの死亡率は9割にものぼり、これがヤマネコにとって最大の脅威となっています。
活動内容
まず、西表島に船で渡り、西表野生生物保護センターを訪問しました。そこで、専門家からイリオモテヤマネコの保護活動と、道路沿いの草刈りがなぜ重要なのかを学びました。センターを訪れた時点では、ヤマネコとの交通事故は673日間発生しておらず、その裏には多くの人々の努力があることを知りました。その後、西表島東部地域で2時間にわたり手作業で草刈り作業を行いました。道路沿いの草を刈ることで、ドライバーの視界を確保し、ヤマネコの飛び出しに早く気づけるようにするための取り組みです。
成果と感想
草刈り作業が終わり、視界が広がった道路を見て、一見地味に思える活動が実はヤマネコの命を守る大切な役割を果たしていることを実感しました。西表財団様や地元の方々、行政、企業、そしてボランティアが一丸となってこの活動を長年続けていることを知り、このつながりを端数倶楽部のみんなで繋げられたことを嬉しく思います。私たちの小さな行動が、美しい西表島の自然と貴重な野生動物を守る力になることを信じています。
3日目:中野海岸でのビーチクリーン活動
活動日:2024年10月29日
場所:沖縄県西表島 中野海岸
3日目は、西表島の中野海岸にてビーチクリーン活動を西表財団様と共同で行いました。
背景と問題点
西表島は沖縄県にある美しい島で、豊かな自然が広がっています。しかし近年、海には多くのゴミが漂着しており、その多くはプラスチック製品です。これらのゴミは海流や風によって遠くから運ばれてきており、中野海岸はゴミが集まりやすい場所となっています。海の生き物たちにとって、これらのゴミは大きな脅威です。
活動内容
私たちは、主にプラスチック、ガラス、浮き球、発泡スチロール、ロープなどのゴミを中心に海岸の清掃を行いました。特にペットボトルが多く見られ、回収したペットボトルは中身を捨てた後、ラベルのバーコードを確認して国別に分別しました。また、回収したゴミは西表島内で処理できないため、石垣島まで運んで処理しなければならないことを知り、ゴミの漂着問題に加え、処分費用の問題もあるということも理解しました。
成果と感想
今回のビーチクリーン活動を通じて、海洋ゴミ問題の深刻さを改めて実感しました。大量のペットボトルが漂着している現状に驚かされるとともに、ゴミを捨てない、リサイクルを進めるなど、一人ひとりの行動が重要であると感じました。プラスチックは微細化しても化学的な構造は保たれるため、マイクロプラスチックとなって食物連鎖を通じて最終的に人間に影響を及ぼします。海洋生物だけではなく、環境問題が自分たちの健康にも影響を及ぼすことを痛感しました。この活動を通じて、ゴミを減らしリサイクルを促進する意識が高まりました。特に、星野リゾート様の従業員の方々と一緒に作業を行えたことで、同じ想いを持って行動している仲間がいることを実感し、とても勇気づけられ、嬉しくなりました。みんなで協力してゴミを拾い集める中で、共通の目標に向かって取り組む喜びや、一体感を感じることができました。
参加者アンケートで実感した活動の価値
- 美しい海や自然を守るため、現地で地道な努力が続けられていることを実感。人員・費用・インフラ不足も課題と認識し、一人一人の行動の大切さを再確認。
- 忙しさを理由に避けてきたボランティアに初参加し、一歩踏み出せた。
- 行程・スケジュール、作業・見学・自由時間のバランスが良く、事前レクチャーで作業意欲が向上。荒天時の代替案も想定されており完璧との声。
- 月桃植樹は行政の整地政策と相乗効果があり、製品化で資金を得る持続可能な活動として高評価。
- 活動後、日常でゴミを見ると心が痛み、行動変容の必要性を感じるようになった。
- 交通費半額負担制度が若手参加を後押ししており、継続を希望。
- イリオモテヤマネコ保護の雑草伐採の効果を実感。団体活動の意義を感じ、再参加を希望。
- ヤマネコの生態や保護活動の広がりを学び、ビーチクリーンで漂着ごみの多さと国際性に驚く。
- 訪問先から端数倶楽部活動への高評価を受け、誇りと貢献意欲を感じた。
- 環境問題の説明と活動目的がセットで明確な意義を持って参加できた。多様な人が同じ目的で集まる有意義さを実感。
- 全国からの参加者がいることに驚き、運営委員の丁寧な企画運営に感謝。
このように、多くの貴重なご意見を頂戴しました。
さらに、イベントの満足度についても、下記グラフのほとんどの参加者の皆様から「大変満足」との嬉しいご評価をいただくことができました。
今回は3つの団体にご協力いただきました。ありがとうございます。
・NPO法人 夏花
https://natsupana.com
・一般財団法人 西表財団
https://iriomote.or.jp
・NPO法人西表島エコツーリズム協会
https://www.iriomote-ea.com
以上