活動報告
【報告】オンラインセミナー「メガソーラー乱立で自然環境はどうなる? 釧路湿原を守る取り組み」実施しました
2025年1月28日(火)に、北海道釧路市とオンライン(Zoom)でつないでセミナーを実施しました。
- テーマ :メガソーラー乱立で自然環境はどうなる? 釧路湿原を守る取り組み
- 開催日時:2025年1月28日(火)18:00~18:50
- 参加者 :25名
- 登壇者 :NPO法人トラストサルン釧路 代表 黒澤 信道 様
■ご講演内容
- 北海道の釧路湿原は、1987年に国立公園に指定された。
しかし、釧路湿原の水源林である国立公園周辺の丘陵地や、市街に近い南部湿原は法的保護の対象外。 - 近年、釧路湿原南部にソーラーパネルの設置が増えている。
- 湿原は、希少な動植物の生息場所になるだけでなく、湿原の植物が二酸化炭素を吸収し、泥炭が炭素を地中に貯蔵、そして大量の水が気温や湿度の変動を緩和する役目を持つ。
また、湿原の豊かな栄養が海に流れ込むことで漁業資源の供給に貢献する。さらに、人々の自然体験や観光の対象となる。 - ソーラーパネル設置のために埋め立てられた湿原は、二酸化炭素削減の役には立たなくなる。
- 御社が買おうとする再生可能エネルギーは、本当に地球温暖化防止と自然保護に貢献するかチェックしてほしい。
- ソーラーパネルは適切な場所に。みんなで地球の宝である湿原を未来へ。
■質疑応答
Q1. 湿原に配慮したソーラーパネル設置は可能か?
A1. 地盤工事を避け、冬季に杭打ちのみ行うなど植生への影響を最小限にする方法は考えられるが、鳥類などへの影響は残る。条例や工法の工夫、除草剤禁止、原状回復義務が重要。
Q2. メガソーラー乱立に利権は関係しているか?
A2. 多くは北海道外、とくに外資系企業が投資目的で設置。釧路湿原は土地が安く魅力的な投資先とされる。
Q3. 湿原らしさを保つには?
A3. 上流の河川直線化や森林伐採で泥水流入が増加し、乾燥・森林化が進行。上流の蛇行復元や森林再生で水位と環境を保つ必要がある。
■端数倶楽部の釧路湿原における活動
端数倶楽部は長年、トラストサルン釧路への寄付や、同団体が主催する植樹祭に参加していること、2024年度は例年の学習会と植樹に加え、メガソーラーの見学も行ったことを説明しました。
■FBサステナビリティ推進部コメント
端数倶楽部より、事前に会社に確認したコメントを紹介しました。
「富士フイルムグループでは、すべての事業活動における環境・生物多様性への影響の最小化、生物多様性の維持・回復への貢献を意識し、事業拠点・製造・地域社会との取り組みを行っています。再生可能エネルギーの調達においても、生態系への悪影響を及ぼす懸念があることを認識しており、調達先選定における環境・生態系保護の観点でのチェック体制の構築を進めております。」
■参加者アンケートより
- 湿原の役割や周辺環境へのメリット、自然保護区の仕組みを理解できた
- 湿原は生物多様性保全だけでなく二酸化炭素を泥炭として蓄積する重要な役割を持つと学んだ
- 再生可能エネルギーも自然環境への配慮が不可欠であると認識
- メガソーラーの実態や法律上の許容範囲、線引きの難しさを知った
- 写真や地元住民の声から、事業活動では取引先の先まで考える必要を再認識
- 太陽光パネルの設置場所や廃棄方法による人体・生態系への影響の可能性を理解
- 地球環境保全には多方面の関係者による議論と調整が必要と実感
- 自然保護の難しさと小さな活動の継続の重要性を痛感
- 湿原が二酸化炭素を吸収蓄積する一方、太陽光発電設置でその効果が失われることを学んだ
- 太陽光発電の温暖化抑制効果は設置環境に左右されると理解
- 初参加で端数倶楽部の活動内容を知る機会にもなった